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P3 : 計算過程
(1)日毎の外部被曝線量推測値の算出

●計算フロー

①[元データ CPM] → ②[自然放射線分を除去 CPM] → ③[1日分の平均値を算出 CPM] → ④[単位変換 μSv/h] → ⑤[単位変換 μSv/day]


●計算過程

①元データ
・元データはガイガーカウンターの生データでCPM値の連続データとして次のような値となっています。カンマの前が日時、後がCPM(カウント/分)です。
         :
2011/04/14 23:00:25 , 18
2011/04/14 23:01:25 , 17
2011/04/14 23:02:25 , 14
2011/04/14 23:03:25 , 15
2011/04/14 23:04:25 , 15
         :
・1日分は60分×24時間=1440個のデータで構成されます。
(※何らかの理由により数個~数十個データが欠落した日が有りますので平均値を出す際に考慮します。)

②自然放射線分を除去
・生データは平常時における環境からの自然放射線も含んだ値です。原発事故由来分だけを見積もるにはこれを除く必要があります。
・ナチュラル研究所様から事故前のデータも一部公開していただけたので、それを用いて平常時の値を推定しました。
・自然放射線分の推定値は大震災直前の2011/3/5~3/10の6日間のデータから平均値として 14.5 CPM と見積もりました。
・生データの各CPM値から自然放射線分としてこの 14.5 CPM を差し引きます。
(※降雨時にCPM値が上昇する事が知られていますが、複雑になるため今回はいっさい考慮に入れていません。)

③1日分の平均値を算出
・②で得た値を1日分(データー欠落が無ければ1440個分)平均して、日毎のCPM平均値を求めます。

④単位変換(μSv/hに変換)
・日毎のCPM平均値の単位をμSv/hに変換します。
・CPM値に測定器個有の係数 0.00833 を掛ける事で単位を μSv/h と見なせるとの事です。
・これにより日毎の単位時間あたりの平均被曝線量 μSv/h を得ます。
(※変換係数は測定に使用するガイガーカウンターの個有値の様です。詳しくはナチュラル研究所様のHPを参照下さい。)

⑤単位変換(μSv/dayに変換 )
④で得た値 μSv/h を 24倍(24時間) して日毎の被曝線量 μSv/day を得ます。




(2)大気中放射性物質の吸引による日毎の内部被曝線量推測値の算出
※係数の参照先等についてvinotintoさんのBlog記事を参考にさせて頂きました。
(http://d.hatena.ne.jp/vinotinto/20110328/1301242519)

●計算フロー

①[元データ Bq/m^3] → ②[核種別・日毎の平均濃度の算出 Bq/m^3] → ③[核種別・日毎の吸入量の算出 Bq/day] →
→④[核種別・日毎の預託実効線量の算出 μSv/day]→⑤[核種合計・日毎の総預託実効線量の算出 μSv/day]


●計算過程

①元データ
・元データは核種毎の測定時における濃度Bq/m^3(ベクレル/立方メートル)です。
・核種は ヨウ素131、ヨウ素132、セシウム134、セシウム137 の値が公表されています。

②核種別・日毎の平均濃度の算出
・核種毎に平均濃度を出す理由は、それぞれ核種毎に実効線量係数が異なる為です。
・元データは測定回数や測定時刻が日によって異なります。単純に測定回数を分母にして平均値を算出すると偏りが生じるため
1時間毎のデーターとした場合に空欄となる値を直近の値と見なして埋め、日毎の平均濃度を得る様にしました。
(※4月12日以降は測定が1日1回となったのでその値をその日の平均濃度として取り扱います。)

③核種別・日毎の吸入量の算出
・まず対象を成人男性と仮定して1日当たりの、呼吸により肺に入る空気の総量を見積もります。
ここでは1回換気量を0.5L(リットル)、呼吸回数を16回/minと仮定して、11520L=11.52 m^3/day(立方メートル/日)と見積もりました。
・各日毎の平均濃度にこの11.52m^3/dayを掛けて、核種別に放射性物質の日毎吸入総量 Bq/day を得ます。

④核種別・日毎の預託実効線量の算出
・核種別・日毎の吸入量 Bq/day にそれぞれの核種の「実効線量係数」を掛けることで、核種別・日毎の預託実効線量 μSv/dayを得ます。
(※「実効線量係数」及び「預託実効線量」の意味については検索すると色々説明が出てきますので各自ご確認願います。)
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核種毎に用いた実効線量係数は次の通りです。
数値は公益財団法人原子力安全研究協会が運営するHP上に転載されたICRP Publ.72の値を用いました。
[経口摂取の場合]と[吸入摂取の場合]の値が用意されているので、ここでは吸入摂取の場合の値を用います。

 ヨウ素131 実効線量係数 0.0074 μSv/Bq
 ヨウ素132 (※注 テルル132の実効線量係数を準用) 0.002 μSv/Bq
 セシウム134 実効線量係数 0.020 μSv/Bq
 セシウム137 実効線量係数 0.039 μSv/Bq

(※注 I-132[半減期:2.3時間]の記載が無いため、親核種であるTe-132[半減期:3.2日]の値を準用しました。)
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⑤呼吸による日毎の総預託実効線量の算出
核種別に求めた日毎の預託実効線量を合計して、呼吸による日毎の総預託実効線量 μSv/dayを得ます。




(3)水道水飲用による日毎の内部被曝線量推測値の算出

●計算フロー

①[元データ Bq/kg] → ②[核種別・日毎の摂取量の算出 Bq/day] → ③[核種別・日毎の預託実効線量の算出 μSv/day] →
→ ④[核種合計・日毎の総預託実効線量の算出 μSv/day]


●計算過程

①元データ
・元データは核種毎の測定時における濃度Bq/kg(ベクレル/キログラム)です。
・測定は1日1回なのでその値をその日の平均値と見なします。
・核種は ヨウ素131、セシウム134、セシウム137 の値が公表されています。

②核種別・日毎の摂取量の算出
・核種毎に算出する理由は、それぞれ核種毎に実効線量係数が異なる為です。
・ここでは1日に水道水を2L(=2kg)摂取すると仮定しました。
・核種別・日毎の平均濃度 Bq/kg に2kg/dayを掛けて、核種別・日毎の放射性物質摂取量 Bq/day を得ます。

③核種別・日毎の預託実効線量の算出
・核種別・日毎の摂取量 Bq/day にそれぞれの核種の「実効線量係数」を掛けることで、核種別・日毎の預託実効線量 μSv/dayを得ます。
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核種毎に用いた実効線量係数は次の通りです。
数値は公益財団法人原子力安全研究協会が運営するHP上に転載されたICRP Publ.72の値を用いました。
[経口摂取]の場合と[吸入摂取の場合]の値が用意されているので、ここでは経口摂取の場合の値を用います。

 ヨウ素131  実効線量係数 0.022 μSv/Bq
 セシウム134 実効線量係数 0.019 μSv/Bq
 セシウム137 実効線量係数 0.013 μSv/Bq
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④水道水飲用による日毎の総預託実効線量の算出
核種別に求めた日毎の預託実効線量を合計して、水道水飲用による日毎の総預託実効線量 μSv/dayを得ます。
by hibakunow | 2011-05-28 15:54 | 計算過程
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