P1 : 測定値に基づく被曝線量
(はじめに)

  2011年3月の東京電力福島第1原発事故で放出された放射性物質が管理人の住む東京都八王子市まで飛散してきました。
  不安になり、入手可能な測定値を元に自分が今どの程度被曝しているのか、積算被曝量の計算を試みました。
  あくまで個人的な目的でしたが、同じ不安を感じている方のご参考になればと思い稚拙ながら公開させていただこうと思います。

(ご注意)

  ・結果はあくまでも素人による計算値です。色々と間違いがあるかもしれません、その点に十分ご留意下さい。
  ・当ブログ掲載内容により、いかなる損害等が生じたとしても当方ではいっさい責任を負えません。
  ・当ブログの掲載内容すべてについて管理人の許可なく利用・転載する事を固くお断り致します。


   公開にあたり、出来るだけ計算過程をオープンにするよう心掛けました。
   間違いや疑問、ご感想等ございましたらお気軽にコメント欄(ページ下)に書き込み下さい。



< 被曝線量-積算値(累積被曝線量)の推移>

 ■ 事故後2年目の累積被曝線量値 [対象期間: 2012.3.11 - ]

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※Blogの仕様で圧縮されて見にくくなっていますが、グラフをクリックするときれいにご覧いただけます

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グラフの更新は不定期です。


 ■ 事故後1年目の累積被曝線量値 結果 [対象期間: 2011.3.11 - 2012.3.10]
   ・内部被曝(水道水2L飲用時 ): 10.3 μSv
   ・内部被曝(呼吸): 11.5 μSv
   ・外部被曝: 50.7 μSv 

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※Blogの仕様で圧縮されて見にくくなっていますが、グラフをクリックするときれいにご覧いただけます

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取り扱いデータ
  (1)外部被曝: ナチュラル研究所の石川様からご提供頂いたガイガーカウンター"生データ"から算出(測定点:日野市)
  (2)大気中放射性物質吸引による内部被曝 : 東京都産業労働局発表値から算出(測定点:世田谷区深沢)
  (3)水道水飲用による内部被曝 : 東京都健康安全センター発表値から算出(測定点:新宿区)

  ※食品摂取による内部被曝 については測定値に基づく計算が事実上不可能なため、別途シミュレーションを行いました。
   「 P5:仮定に基づくシミュレーション 」 を参照下さい。




< 附録: 水道水飲用時の体内残留濃度推定値の推移>
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※Blogの仕様で圧縮されて見にくくなっていますが、グラフをクリックするときれいにご覧いただけます


取り扱いデータ
  (4)水道水継続飲用による放射性物質の体内残留濃度 : 東京都健康安全センター発表値から算出(測定点:新宿区)

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# by hibakunow | 2012-06-21 11:05 | 測定値に基づく計算結果
P2 : 元データについて
(1)外部被曝線量推測値の算出に用いたデータ

  東京都日野市で個人気象観測をされているナチュラル研究所様のHPでリアルタイム観測データ(グラフ)が公開されています。
  所長である石川様のご厚意により計測値の生データをご提供いただきました。ご厚意に深く感謝いたします。

  採用理由:管理人と住所が非常に近い。事故前からの生データ(連続データ)が有る等、非常に詳細である。 
  ※データの正確性についてキャリブレーションを行っていないとの前提を承知済みで扱います。

  測定点:東京都日野市 個人宅室内(木造住宅2階窓辺 地上より高さ4m)
  測定 :ガイガーカウンターによる24時間計測、1分毎のCPM値(カウント/分)

  詳細はナチュラル研究所様のHPをご参照下さい。
  http://www.ishikawa-lab.com/index.html



(2)大気中放射性物質吸引による内部被曝線量推測値の算出に用いたデータ

  東京都産業労働局のHPでデータが公表されています。
  項目は「東京都における大気浮遊塵の核反応生成物の測定結果について」
  測定は地方独立行政法人 東京都立産業技術研究センターで行われている様です。

  採用理由:東京・多摩近隣で公表されているデータを他に知らない。福島からの距離と比べほぼ近隣と見なして良いと思われる。

  測定点(試料捕集場所):東京都世田谷区深沢
  測定 :ゲルマニウム半導体検出器による測定。1日1回~数回の測定、単位はBq/m^3(ベクレル/立方メートル)

  詳細は東京都産業労働局HPをご参照下さい。
  http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/index.html



(3)水道水飲用による内部被曝線量推測値の算出に用いたデータ

  東京都健康安全研究センターのHPでデータが公表されています。
  項目は「都内の環境放射線測定結果>水道水中の放射能調査結果」

  採用理由:都水道局と比べ測定精度が高い(都水道局による測定値は 未検出≦20Bq/kg)
  管理人の自宅とは浄水場・水系が異なるが関東圏と捉えれば十分参考になると思われる。

  測定点:東京都健康安全研究センター(東京都新宿区百人町)敷地内の水道直結管の蛇口水
  測定 :ゲルマニウム半導体核種分析装置による測定。1日1回の測定。単位はBq/kg(ベクレル/キログラム)

  詳細は東京都健康安全研究センターHPをご参照下さい。
  http://www.tokyo-eiken.go.jp/index-j.html
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# by hibakunow | 2011-05-28 15:56 | 元データについて
P3 : 計算過程
(1)日毎の外部被曝線量推測値の算出

●計算フロー

①[元データ CPM] → ②[自然放射線分を除去 CPM] → ③[1日分の平均値を算出 CPM] → ④[単位変換 μSv/h] → ⑤[単位変換 μSv/day]


●計算過程

①元データ
・元データはガイガーカウンターの生データでCPM値の連続データとして次のような値となっています。カンマの前が日時、後がCPM(カウント/分)です。
         :
2011/04/14 23:00:25 , 18
2011/04/14 23:01:25 , 17
2011/04/14 23:02:25 , 14
2011/04/14 23:03:25 , 15
2011/04/14 23:04:25 , 15
         :
・1日分は60分×24時間=1440個のデータで構成されます。
(※何らかの理由により数個~数十個データが欠落した日が有りますので平均値を出す際に考慮します。)

②自然放射線分を除去
・生データは平常時における環境からの自然放射線も含んだ値です。原発事故由来分だけを見積もるにはこれを除く必要があります。
・ナチュラル研究所様から事故前のデータも一部公開していただけたので、それを用いて平常時の値を推定しました。
・自然放射線分の推定値は大震災直前の2011/3/5~3/10の6日間のデータから平均値として 14.5 CPM と見積もりました。
・生データの各CPM値から自然放射線分としてこの 14.5 CPM を差し引きます。
(※降雨時にCPM値が上昇する事が知られていますが、複雑になるため今回はいっさい考慮に入れていません。)

③1日分の平均値を算出
・②で得た値を1日分(データー欠落が無ければ1440個分)平均して、日毎のCPM平均値を求めます。

④単位変換(μSv/hに変換)
・日毎のCPM平均値の単位をμSv/hに変換します。
・CPM値に測定器個有の係数 0.00833 を掛ける事で単位を μSv/h と見なせるとの事です。
・これにより日毎の単位時間あたりの平均被曝線量 μSv/h を得ます。
(※変換係数は測定に使用するガイガーカウンターの個有値の様です。詳しくはナチュラル研究所様のHPを参照下さい。)

⑤単位変換(μSv/dayに変換 )
④で得た値 μSv/h を 24倍(24時間) して日毎の被曝線量 μSv/day を得ます。




(2)大気中放射性物質の吸引による日毎の内部被曝線量推測値の算出
※係数の参照先等についてvinotintoさんのBlog記事を参考にさせて頂きました。
(http://d.hatena.ne.jp/vinotinto/20110328/1301242519)

●計算フロー

①[元データ Bq/m^3] → ②[核種別・日毎の平均濃度の算出 Bq/m^3] → ③[核種別・日毎の吸入量の算出 Bq/day] →
→④[核種別・日毎の預託実効線量の算出 μSv/day]→⑤[核種合計・日毎の総預託実効線量の算出 μSv/day]


●計算過程

①元データ
・元データは核種毎の測定時における濃度Bq/m^3(ベクレル/立方メートル)です。
・核種は ヨウ素131、ヨウ素132、セシウム134、セシウム137 の値が公表されています。

②核種別・日毎の平均濃度の算出
・核種毎に平均濃度を出す理由は、それぞれ核種毎に実効線量係数が異なる為です。
・元データは測定回数や測定時刻が日によって異なります。単純に測定回数を分母にして平均値を算出すると偏りが生じるため
1時間毎のデーターとした場合に空欄となる値を直近の値と見なして埋め、日毎の平均濃度を得る様にしました。
(※4月12日以降は測定が1日1回となったのでその値をその日の平均濃度として取り扱います。)

③核種別・日毎の吸入量の算出
・まず対象を成人男性と仮定して1日当たりの、呼吸により肺に入る空気の総量を見積もります。
ここでは1回換気量を0.5L(リットル)、呼吸回数を16回/minと仮定して、11520L=11.52 m^3/day(立方メートル/日)と見積もりました。
・各日毎の平均濃度にこの11.52m^3/dayを掛けて、核種別に放射性物質の日毎吸入総量 Bq/day を得ます。

④核種別・日毎の預託実効線量の算出
・核種別・日毎の吸入量 Bq/day にそれぞれの核種の「実効線量係数」を掛けることで、核種別・日毎の預託実効線量 μSv/dayを得ます。
(※「実効線量係数」及び「預託実効線量」の意味については検索すると色々説明が出てきますので各自ご確認願います。)
----------------------------------------------------------------------------------
核種毎に用いた実効線量係数は次の通りです。
数値は公益財団法人原子力安全研究協会が運営するHP上に転載されたICRP Publ.72の値を用いました。
[経口摂取の場合]と[吸入摂取の場合]の値が用意されているので、ここでは吸入摂取の場合の値を用います。

 ヨウ素131 実効線量係数 0.0074 μSv/Bq
 ヨウ素132 (※注 テルル132の実効線量係数を準用) 0.002 μSv/Bq
 セシウム134 実効線量係数 0.020 μSv/Bq
 セシウム137 実効線量係数 0.039 μSv/Bq

(※注 I-132[半減期:2.3時間]の記載が無いため、親核種であるTe-132[半減期:3.2日]の値を準用しました。)
-----------------------------------------------------------------------------------

⑤呼吸による日毎の総預託実効線量の算出
核種別に求めた日毎の預託実効線量を合計して、呼吸による日毎の総預託実効線量 μSv/dayを得ます。




(3)水道水飲用による日毎の内部被曝線量推測値の算出

●計算フロー

①[元データ Bq/kg] → ②[核種別・日毎の摂取量の算出 Bq/day] → ③[核種別・日毎の預託実効線量の算出 μSv/day] →
→ ④[核種合計・日毎の総預託実効線量の算出 μSv/day]


●計算過程

①元データ
・元データは核種毎の測定時における濃度Bq/kg(ベクレル/キログラム)です。
・測定は1日1回なのでその値をその日の平均値と見なします。
・核種は ヨウ素131、セシウム134、セシウム137 の値が公表されています。

②核種別・日毎の摂取量の算出
・核種毎に算出する理由は、それぞれ核種毎に実効線量係数が異なる為です。
・ここでは1日に水道水を2L(=2kg)摂取すると仮定しました。
・核種別・日毎の平均濃度 Bq/kg に2kg/dayを掛けて、核種別・日毎の放射性物質摂取量 Bq/day を得ます。

③核種別・日毎の預託実効線量の算出
・核種別・日毎の摂取量 Bq/day にそれぞれの核種の「実効線量係数」を掛けることで、核種別・日毎の預託実効線量 μSv/dayを得ます。
----------------------------------------------------------------------------------
核種毎に用いた実効線量係数は次の通りです。
数値は公益財団法人原子力安全研究協会が運営するHP上に転載されたICRP Publ.72の値を用いました。
[経口摂取]の場合と[吸入摂取の場合]の値が用意されているので、ここでは経口摂取の場合の値を用います。

 ヨウ素131  実効線量係数 0.022 μSv/Bq
 セシウム134 実効線量係数 0.019 μSv/Bq
 セシウム137 実効線量係数 0.013 μSv/Bq
----------------------------------------------------------------------------------

④水道水飲用による日毎の総預託実効線量の算出
核種別に求めた日毎の預託実効線量を合計して、水道水飲用による日毎の総預託実効線量 μSv/dayを得ます。
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# by hibakunow | 2011-05-28 15:54 | 計算過程
P4 : 計算過程
(4)水道水継続飲用による放射性物質の体内残留濃度推定値の算出

●計算フロー

①[元データ Bq/kg] → ②[核種別・日毎の摂取量の算出 Bq/day] → ③[核種別・実効半減期の算出] →
→ ④[核種別・日毎体内残留値の算出 Bq/Body] → ⑤[核種合計・日毎体内残留値の算出 Bq/Body]


●計算過程

①元データ
・元データは核種毎の測定時における濃度Bq/kg(ベクレル/キログラム)です。
・測定は1日1回なのでその値をその日の平均値と見なします。
・核種は ヨウ素131、セシウム134、セシウム137 の値が公表されています。

②核種別・日毎摂取量の算出
・核種毎に算出する理由は、それぞれ半減期Tが異なる為です。
・ここでは1日に水道水を2L(=2kg)摂取すると仮定しました。
・核種別・日毎の平均濃度 Bq/kg に2kg/dayを掛けて、核種別・日毎の放射性物質摂取量 Bq/day を得ます。

③核種別・実効半減期の算出
・核種毎に実効半減期:Teff を求めます。
 実効半減期:Teff は 物理学的半減期:Tphys 、生物学的半減期:Tbiol から求める事ができ、次の関係式で表されます。

  1/Teff=(1/Tphys)+(1/Tbiol).

  Teff=(Teff×Tbiol) / (Teff+Tbiol).

----------------------------------------------------------------------------------
核種毎に求めた実効半減期 Teff は次の通りです。
(日毎量の算出に用いるのが目的なので単位はすべてdayに換算しています。)

・物理学的半減期の値は「理科年表 平成23年版」(丸善出版)から。
・生物学的半減期の値については、ヨウ素131はwikipediaの値(最大値)を参考値として採用。
・セシウム137 は(財)高度情報科学技術研究機構が運営する「原子力百科事典 ATOMICA」に掲載の
 「動物実験と人間への外挿」という記事中から抜粋した値を参考値として採用。
・セシウム134については前述のセシウム137の参考値を準用しました。

 ヨウ素131   Teff(計算値)= 7.58 day (Tphys: 8.02 day , Tbiol(参考値): 138 day) 
 セシウム134 Teff(計算値)= 95.97 day (Tphys: 2.062 y=752.63 day , Tbiol(参考値): 110 day)
 セシウム137 Teff(計算値)= 108.91 day (Tphys: 30.07 y=10975.55 day , Tbiol(参考値): 110 day)

(※生物学的半減期の値については今後確認が必要だと思います。)
----------------------------------------------------------------------------------


④核種別・日毎体内残留値の算出
・核種別・日毎体内残留値は、次のように求める事ができます。

「日毎体内残留値」=「当日の摂取量」+「前日摂取した残留分(減衰値)」+「前々日摂取した残留分(減衰値)」+・・・

-----------------------------------------------------------------------------
上式の各残留分(減衰値)は半減期(ここでは③で求めた実効半減期:Teff)の一般式から求めます。
 ここでN(t) は時刻t における量、N(0)は時刻0における量、T は半減期です。

  N(t)=N(0)×(1/2)^(t/T).
-----------------------------------------------------------------------------
・実際の計算イメージは次の様な感じです。

[ヨウ素131の計算例] 

          摂取量(Bq/2L) → 残留分(減衰値)
   日付          0        1        2        3        4 → 経過日数
2011/3/18      2.94   →   2.68  →  2.45  →  2.23  →    …
2011/3/19      5.70   →   5.20  →  4.75  →  4.33  →    …
2011/3/20      5.86   →   5.35  →  4.88  →  4.45  →    …
2011/3/21     10.50   →   9.58  →  8.74  →  7.98  →    …
    :          :          :         :        :        : 

  ヨウ素131-体内残留値(2011/3/21)=10.50 + 5.35 + 4.75 + 2.23 = 22.83 Bq 

・上記の要領で、核種別に日毎体内残留値をそれぞれ得ます。


⑤核種合計・日毎体内残留値の算出
・核種別に求めた日毎の体内残留値を合計して、水道水飲用による日毎の放射性物質-体内残留値 Bq/Body を得ます。

   
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# by hibakunow | 2011-05-28 15:53 | 計算過程
P5 : 仮定に基づくシミュレーション
< 食品摂取による内部被曝線量-積算値シミュレーション>

  放射性物質で汚染された食品の摂取による内部被曝線量を知りたくても、日々口にする食材の汚染度を測定値として得ることは事実上不可能です。
  そこで仮定に基づいたシミュレーションを行い、目安となる値(想定最大値)を見積もってみる事にしました。


(シミュレーション条件)

 (1) 汚染濃度 : 政府による「暫定規制値」をパスするギリギリの濃度(=基準と同値)で食品が汚染されていると仮定した。
 (2) 汚染核種 : 放射性ヨウ素、放射性セシウムによる汚染のみを想定し、それ以外の核種は食品の汚染報告が無いため計算から除外した。
 (3) 摂取量  : 健康上理想的とされるカロリー別献立モデルに基づき、各食品群の1日当たり重量相当分を毎日継続的に摂取するものと仮定した。
 (4) 積算期間 : 暫定規制値が適用された2011年3月17日から1年間とした。  

  ※その他の詳細については <P6 : 計算過程> を参照下さい。


(シミュレーション結果)


<グラフ 1> 成人を対象とした計算結果
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<グラフ 2> 子供[2~7歳]を対象とした計算結果
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(備考)

 ・内部被爆線量については「預託実効線量」の考え方に基づいています。預託実効線量についてはこちら(原子力百科事典)
 ・自分の適正摂取カロリーを知る: サントリーウエルネス(株)HPより「適正摂取カロリー測定ツール」を参考にしてみて下さい。
 ・ICRP=(国際放射線防護委員会)


(取り扱いデータ)

 (1)健康上理想的とされるカロリー別献立モデル: 第一三共(株)HPより「一日に摂りたい食品の重量」に掲載されている表を引用。
 (2)政府による暫定規制値: 厚生労働省HPより、2011/3/17通知 「放射能汚染された食品の取り扱いについて(PDF)」を引用。
 (3)ICRP年間実効線量限度値: 原子力百科事典HPより「ICRP勧告(1990年)による個人の線量限度の考え」を引用(*1)。
   (*1)該当ページのアドレスに直リンク出来ない様なので、リンク先のキーワード検索窓に「 個人の線量限度 」と入れて検索して下さい。
 (4)子供を対象とする実効線量係数: 独立行政法人放射線医学総合研究所HPより「放射線被ばくに関する基礎知識 第6報」から引用。
 

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# by hibakunow | 2011-05-28 12:26 | シミュレーションの結果
P6 : 計算過程
(5)食品摂取による内部被曝シミュレーション

●計算フロー

①[献立モデルの準備] → ②[各食品群に対する暫定規制値の適用] → ③[実効線量係数の検討] → ④[核種別・日毎預託実効線量の算出] →
→ ⑤[核種合計・日毎預託実効線量の算出] → ⑥[積算値の算出]


●計算過程
 (※グラフ2の子供[2-7歳]を対象とする計算については、煩雑になるのを避けるため説明を割愛致します。)

①献立モデルの準備
  献立モデルは第一三共(株)HPより「一日に摂りたい食品の重量(表)」を引用しました。
  この内、シミュレーションで用いたのは2200,1800,1400 kcal の3モデルです。
  これらを表計算ソフトのワークシート上に起こしたものが<表1>です。

  ・元の表では1400kcal 摂取モデルの果実類の摂取量が100~150gとなっていますが、計算上この値を125gに固定しました。
  ・「ご飯・その他の穀類」の項目については、ご飯の摂取のみを想定し、重量は炊飯前の"お米"の状態に換算した値としました。
   ※ご飯と"お米"の換算はこちらのお米屋さんのHPを参考にさせていただきました。


<表1>
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②各食品群に対する暫定規制値の適用
  各食品群に対して暫定規制値を適用(対応)させたものが<表1>のピンク色の部分です。

  ・米は、新米が出回るまでの期間のものについては、事故前に収穫されたもので屋内で保管されていたと考えられる。
   従って、これらは汚染が無いか、汚染が有ったとしても軽微であると考えられるため計算から除外した。
   具体的には 2011/3/17 ~ 2011/9/30 の期間は米の汚染は無いものとして計算した。 
 
  ・これら食品群のうち暫定規制値の示されていない、油脂類、種実類、砂糖類、調味嗜好飲料の項目については計算から除外した。
  ・放射性ヨウ素が対応する項目のうち暫定規制値が示されていない肉類、卵類、芋類、大豆・大豆製品・その他の豆類(※1)(※2)は計算から除外した。

   (※1)肉、卵についての参考資料「放射性ヨウ素等の検出に伴う出荷制限等について(pdf)」 農林水産省生産局畜産部食肉鶏卵課長
       芋、豆についての参考資料「放射能汚染された食品の取り扱いについて(pdf)」 厚生労働省医薬食品局食品安全部長
   (※2)ここで豆は穀類に含まれるものとした。
  

③実効線量係数の検討
  政府による暫定規制値に示された放射性核種は「放射性ヨウ素」「放射性セシウム」という大まかな表現となっています。
  実効線量係数は核種によって異なるため、例えば「放射性ヨウ素」が I-131 なのか I-132 なのかで係数値が違ってきます。
  そこで次のように実効線量係数を定めました。

  ・「放射性ヨウ素」の実効線量係数について
   放射性ヨウ素は大気中から I-131 と I-132 が検出されている。
   I-131の半減期8.02日に対し、I-132の半減期は2.3時間と極端に短い事から、ここでは該当汚染の全量を I-131 によるものと仮定した。
   I-131実効線量係数(経口摂取)=0.022 μSv/Bqを計算に適用する。

  ・「放射性セシウム」の実効線量係数について
   放射性セシウムは水道水中から Cs-134 と Cs-137 が検出されている。
   半減期はCs-134 が2.062年、Cs-137が30.07年で、どちらも計算上無視できない。
   また、水道水中での検出量をみると3/13~5/15の合計値でCs-134=10.33Bq 、Cs-137=9.78Bqであった。
   比率で表すと、Cs-134 :Cs-137 = 0.95:1 である。ここでは検出比率をほぼ等量とみなす事にする。
   検出比率が食品への付着でも変わらないと仮定し、実効線量係数を調整(平均値)して用いる事にした。

   それぞれの(経口摂取)実効線量係数 Cs-134= 0.019 、Cs-137= 0.013 の平均値として
   放射性セシウム(経口摂取)調整実効線量係数=0.016 μSv/Bqを計算に適用する。

   ※実効線量係数(経口摂取)については、P:3 計算過程の 「(3)水道水飲用による日毎の内部被曝線量推測値の算出」も参照下さい。
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   子供[2~7歳]を対象とした場合の実効線量係数については、全く同様に次のように定めた。

   ・「放射性ヨウ素」の実効線量係数について
    ヨウ素I-131:実効線量係数(経口摂取 子供2-7歳)=0.10 μSv/Bqを計算に適用する。

   ・「放射性セシウム」の実効線量係数について
    Cs-134=0.013 、Cs-137=0.0096 の平均値として
    放射性セシウム(経口摂取)調整実効線量係数=0.0113 μSv/Bqを計算に適用する。

    なお、子供を対象とする実効線量係数は独立行政法人放射線医学総合研究所HPの「放射線被ばくに関する基礎知識 第6報」から引用した。
--------------------------------------------------------------------------------------------------------


④核種別・日毎預託実効線量の算出 ⑤核種合計・日毎預託実効線量の算出
   計算結果をワークシートのコピーとして <表2-1> および <表2-2> に示します。

⑥積算値の算出
   積算値は各カロリーモデル別に日毎実効線量(核種合計)[μSv/day]を毎日単純に積み上げます。




<表2-1> 米の汚染を考慮しない計算結果 [ 適用期間: 2011/3/17~2011/9/30 ]
b0219056_18192295.jpg




<表2-2> 米(新米)の汚染を考慮した計算結果 [ 適用期間: 2011/10/1~2012/3/16 ]
b0219056_1819492.jpg

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# by hibakunow | 2011-05-28 12:24 | 計算過程
P7 : 訂正事項等
2011.5.29 「食品摂取による内部被曝線量-積算値シミュレーション」 計算条件修正について
読者の方から「現在流通している米は、事故前に収穫された米なので放射能汚染は殆どないのでは?」とのご指摘をいただきました。
検討の結果、そのように考えるのが妥当と判断し、関連するグラフ・表を修正致しました。
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# by hibakunow | 2011-04-16 22:48 | 訂正事項
P8 : 管理人からのお知らせ
2012.4.1 食品に含まれる放射性セシウムの新たな基準が4月1日から適用されます。
厚生労働省は食品に含まれる放射性セシウムについて、これまでの暫定規制値に替えて新たな基準値を4/1から適用するとしました。
新たな基準値は「暫定」ではなく、現状に大きな変化が無い限り今後見直しの予定は無いとの事です。
・厚生労働省作成のリーフレット(pdf)→こちら
・基準値の設定に関するQ&Aについて 厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長(pdf)→こちら

2012.3.13 事故後1年が経過しました。
1年という期間は精神的な区切りであると共に、放射線による人体への影響を考える際の被曝線量累積値(積算値)の集計単位でもあります。
この意味でも当初からブログは1年程度は続ける必要があると考えていました。
さて、1年という期間が経過したものの依然として被曝に対する恐怖、爆発・破損した原子炉群への不安は消え去りません。
明らかにこの未曾有の原発大事故は未だ現在進行形であると感じています。政治的な側面も含め、あらゆる事柄が不安定すぎる様に思われます。
ということで、当面の間は累積被曝線量グラフの更新は継続していこうと思います。
いつまで続けるかは今のところ分かりません。早く事態が本当の意味で安定し収束する事を願うばかりです。

2011.10.19 文部科学省が「放射線量等分布マップ拡大サイト」を公開しました。
ご自身の居住地域と当ブログの掲載データを比較検討する上でも重要な資料になると思います。→こちら

2011.6.21 食品摂取による内部被曝線量-積算値シミュレーションに子供を対象とした結果を追加しました。
お子様をご心配されている方が多そうな事から、子供[2-7歳]を対象としたシミュレーション結果<グラフ2>を追加致しました。
一方、測定値に基づく計算においても「呼吸による内部被爆」「水道水飲用による内部被爆」で同様の対応が必要なのですが、
こちらは、食品摂取に比べ影響が小さい事、また内容が煩雑になる事を避けるため対応は見送ります。

2011.6.18 ナチュラル研究所様のHPで地表面での放射線量測定結果を公開されています。
空間放射線量データをご提供いただいているナチュラル研究所様で同型のガイガーカウンターをもう一台入手されたそうです。
これを用いて地表面での放射線量を測定した結果が公開されています。→こちら
当ブログの計算結果(住宅2階:地上4mでの測定値に基づく)を見る上でも非常に参考になりますので是非ご参照ください。

2011.5.30 食品摂取による内部被曝線量-積算値シミュレーションに用いた献立モデルについて
掲載したシミュレーションでは食品摂取の条件として「健康上理想的とされる献立モデル」を引用しましたが、
厚生労働省による「国民健康・栄養調査」の中で「食品群別摂取量」が報告されている事に気付きました。
データーは性別・年齢別など詳細なもので、食生活の実態が反映されたものです。
こちらを適用する方が、より実態に即した結果を得られる可能性が高いため、再計算のうえ結果の差し替えを検討したいと思います。

2011.5.28 食品摂取による内部被曝線量-積算値シミュレーションを掲載しました。

2011.5.8 ブログタイトルを「~@八王子近隣」から「~@東京・多摩」に変更しました。
特別な意味はありません。

2011.4.18 東京都水道局の放射能測定方法(精度)変更に関して
東京都水道局の水道水の放射能測定結果として、これまで一律に「不検出≦20Bq/kg」と表記してきた方式を改め、
4/15から「検出限界値」を用いた新たな方式に変更したとの事です。
また過去に遡って新たな方式によるデータ(地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター提供値)を公表するとの事。
当ブログでの計算元データとして採用(変更)するかどうか検討したいと思います。
  →2011.4.20 検討の結果、数値は依然としてほぼ「測定限界以下=不検出」のため、採用(変更)は見送ります。
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# by hibakunow | 2011-04-16 22:47 | 管理人からのお知らせ